ダンジョン&ドラゴンズ スカイプオンラインセッション「国境の城塞」 第一幕

かなり前に書いた、栄光を求めて旅する冒険者たちはこちら

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2012/03/23/103630

 

 

 駆け出しの冒険者一向がキャラバンの護衛をしながら辿り着いたのは、「混沌の傷

跡」と呼ばれる呪われた地のそばに立つ『安息砦』という場所だった。

 

DM「じゃあ、キャラバンの隊長は君たちに報酬を渡そうとするよ。ところで、君たち

のリーダーは……」

一行「うーん……」

 

 まぁ、リーダーと言われては、なかなか声を上げ辛いのは確かである。

 まごつく一行。しかし、そこであえて一歩を踏み出す勇者がいた!

 

クリス「マードゥッカがいいんじゃない? 最年長だし」

マードゥッカ「え、わし?」

 

 他薦である。

 しかし、その一言でなんとなく動き出す一行。

 

ワシュキツ「そうだな、マードゥッカ様なら」

ルトラ「うんうん」

モルグラン「……」

 

 なんだかんだのうちにパーティのリーダーに祭り上げられるマードゥッカ。

 仕方なしにキャラバンの隊長から報酬の50gpを受け取ることに。

 

DM/隊長「やあ、助かったよ。何かあったときはまた頼んだよ」

マードゥッカ「こちらこそ、よろしくお願いいたしますぞ。マードゥッカ王国建国の

ために資金を溜めなければなりませんからな

一同「!?」

 

 どうやら、マードゥッカには国を建てるという途方もない野望があったらしい。

 あんた、そりゃあ大それた望みすぎるだろう(というか、どー考えても口から出任

せだが)。

 しかし、乱世ではそれくらいの野心を持っていた方が成功するのであろう。そもそ

も、D&Dのシステム上、レベルが上がっていけば神性存在にすらなれるのである。

 国の一つや二つ、作ったところでおかしくはない。

 

 そんなマードゥッカの野望が判明したところで、安息砦の中に入った一行は、早速

妙な男に声をかけられる。

 

DM/男「冒険者の方々とお見受けしますが……?」

クリス「まぁそうだけど……」

DM/男「実は、あなたがたに折り入ってお願いしたいことが……」

 

 男が言うには、彼の主人である安息砦の実力者の一人、ベンウィックが、冒険者達

と話がしたいという。どうやら、あまり安息砦の中の人間には聞かれたくない話のよ

うだ。

 はっきり言ってこの超怪しい申し出に、思わず警戒する一堂。

 

ルトラ「怪しい……」

ワシュキツ「いかがなさいますか、マードゥッカ様?」

マードゥッカ「うーむ……」

モルグラン「……」

DM/男「ささやかながら、皆様をおもてなしする宴の用意もしておりますが……」

マードゥッカ「行きましょう(キリッ

 

 流石に、酒と食い物に弱いドワーフの集団である。

 酒宴が用意されているとなれば、どんなに怪しくてもとりあえず話を聞くかという

気になるらしい。

 そんなこんなで、ベンウィックの人柄などを調べつつ、冒険者達はほいほいと彼の

屋敷へと向かった冒険者達であったが、そこで出迎えたのはでっぷりと太った人のよ

さそうな老年の男――ベンウィックであった。

 

 ベンウィックからささやかな酒宴を受ける冒険者たち。

 

DM「では、先ほど君たちに話かけてきた男、ヴェンが君たちのグラスに酒を注ぐよ。

何を飲む?」

一同「エールで」

クリス「エールなんて泥臭い飲み物なんか飲んじゃいられないね! わたしはワイン

を頼むよ

 

 ここぞとばかりに、エルフの悪い部分だけ引き継ぎましたと言わんばかりに協調性

の取れない言動をするクリス。

 呪われた地で生まれたために迫害されてきたという話だったが、そんな事は関係な

く本人の性格の問題だったのでは……?

 

 ともあれ、歓待を受けつつベンウィックの話を聞く一同。

 ベンウィックは冒険者たちに、この安息砦の銀行家、フェルデナンド・ロンニック

という男が、かつてフォールクレストの街を荒らしまわった盗賊の頭領であること、

かつてフォールクレストの「月の歌寺院」から悪神ゼヒーアの信徒に盗まれた「毒蛇

の瞳」という宝石を所持していること、かの男は邪悪なるティアマトを信仰してお

り、安息砦に対して何がしかの企てを行おうとしていることなどを話す。

 

 これらの情報は、ロンニックの銀行で働いていた、ベンウィックの協力者であるゴ

ルディという男からもたらされたものであったが、このゴルディが行方知れずとなっ

てしまっているらしい。

 

 ベンウィックはフェルデナンド・ロンニックの企みを憂慮しており、それを阻止し

ようと考えているらしい。そこでまずは冒険者たちにゴルディを救出してもらい、ロ

ンニックの悪事の証拠を掴みたいというのである。

 

 さらわれたゴルディは安息砦から少し離れた洞窟に監禁されており、ロンニックは

その事を隠す気もないようだ。恐らく、ゴルディの仲間――つまりはベンウィックと

その協力者――をおびき寄せるつもりなのだろう。

 

 ぶっちゃけかなりの危険な任務だが、そこは善属性が多い冒険者たち一向、悪をの

さばらせておくことは出来ん! とばかりに、この依頼を受けることに。

 

 そんなわけで翌日、朝早くから砦を出発した一行は、特に大過なく目的の洞窟へと

辿り付いた。洞窟の前には二匹のリザードフォークが見張りとして立っていたが、

 

マードゥッカ「ワシュキツさん、やっておしまい!」

ワシュキツ「はっ、マードゥッカ様の仰る通りに!」

 

 水戸黄門よろしく、マードゥッカの命を受けたワシュキツの隠密+不意打ちにより

あっという間に倒されてしまう。

 気をよくした一行は、そのまま洞窟の奥へと進んで行き、隠密してはリザード

フォークを不意打ちして八つ裂きにするという凶行を繰り返していたが、

 

DM「さて、では知覚で振ってみてくれ……では気付いたな。この小部屋の天井近く

に、横穴が開いているのが見えるね。昇ってみるなら運動で振ってみてくれ」

一同「運動かぁ」

クリス「私は運動は苦手なんだよ!

 

 ここぞとばかりにエルフの悪いところばかりを引き継いだかのようなry

 しかし、何のかんのと言いながら、穴があったら顔を突っ込むのが冒険者である。

一行が偵察の為に穴を進んで行くと、どうやらこの穴は、洞窟の一番奥……つまり、

ゴルディの捕えられている場所に繋がっているらしい事が判明する。

 

 冒険者たちは、眼下の開けた空間……洞窟の最奥……に、大勢のリザードフォーク

と一匹のドラゴンボーン、そして、大きな穴の底にぼろ雑巾のようになって転がる一

人のヒューマンを確認する。

 恐らくそのヒューマンこそがゴルディであろうと推測した冒険者たちは、いったん

横穴の入り口まで戻ると、しばしの作戦会議に入った。

 

クリス「横穴を進んだらまた不意を打てそうだけど……」

マードゥッカ「しかしゴルディを人質に取られるのは不味い」

ワシュキツ「正面から行きましょうか?」

一同「うーん」

 

 悩む一同。

 横穴から進めば不意を打てそうな事は確かである。しかし、横穴から広間に進むと

降り立つ場所が狭く、また、不意を打たれ敵が混乱することで、どさくさのうちにゴ

ルディが人質に取られる事を懸念していたのであるが……

 

ルトラ「じゃあ、わたしが正面からいって敵の視線をひきつけるから、みんなは裏か

ら回って不意打ちするっていうのはどう?」

一同「え!?」

 

 意外な申し出に驚く一同であったが、確かにそれは有効な作戦に思われた。

 かくして一同は、正面から攻めるルトラと、裏から回る他メンバーによる挟撃とい

う作戦を敢行する。

 

ルトラ「やあやあ我こそはー」

DM/リザードフォーク「えcdrvtbyぬみ」

ルトラ「こ、言葉がわからない……

 

 リザードフォークの話す謎の言語(ドラゴン語)に思わず挫けそうになったもの

の、幸いにして、敵に共通語のわかるドラゴンボーンがいたことにより窮地(?)を

脱するルトラ。

 

ドラゴンボーン「なんだテメェは?」

ルトラ「ゴルディを返してもらいにきた!」

ドラゴンボーン「ハハハ、テメェのようなちんちくりんのドワーフ野郎が、たった一

人で威勢のいいこった!」

 

 ルトラ一人と見て完全に油断するドラゴンボーンとリザードフォーク一行。

 そんな彼らに、横穴から降り立った冒険者達が容赦なく襲いかかる!

 

 かくして戦端は開かれた。

 敵は冒険者たちの二倍以上の数はいようかといった具合であったが、ここでついに

眠れる獅子が目を覚ます。

 

DM「では……モルグランのターンだな」

クリス「ここはあの魔術師っぽい奴を狙って欲しいね」

DM(いい目のつけどころだな。こいつの攻撃は痛いぜぇ~? クックック)

モルグラン「わかった。マイナーアクションで構え、標準アクションで突撃……ダ

メージは32

DM「……し、死にました

 

 突撃一代男、モルグランの破壊力たるや、DMの想定以上である。1Lvが出すべきダ

メージではないと思うのだが……。

 

マードゥッカ「え、ちょ、すごぉ! モルさんすごいよぉ!」

 

 モルグランの活躍を目前にし、子供のようにはしゃぐマードゥッカ。

 それを苦々しげに見つめる男がいた。

 ワシュキツである。

 

ワシュキツ「くっ、モルグランめ……! マードゥッカ様、見ていてください! あ

の程度ならば私も……!」

 

 その言葉を証明するように、一撃で近くのリザードフォークを葬り去るワシュキ

ツ。モルグランとワシュキツは互いに(というかワシュキツが一方的に)競い合うよ

うに、次々と敵を薙ぎ倒していく。

 

 ならば、せめて孤立したルトラを凹してやろうとDMが駒を進めると……

 

ルトラ「じゃあ、一日毎パワーを使います。霜が地面を覆って、周囲2マスが移動困難

地形になり、ACが上がります」

DM「ゲゲェーッ!

 

 元々、パーティ一一硬いルトラである。

 それが更にACが上昇されては、Lv1~2の雑魚では掠りもしない。ただたんに足止め

され、更に当たりもしない攻撃を延々ルトラに放ち続けるリザードフォークたち。た

まに攻撃が当たるものの、窮地に追い詰めるまでには至らない。

 

 かくして、一匹、また一匹とリザードフォーク達は倒されて行き、とうとうモルグ

ランの槍がドラゴンボーンを打ち倒した時には、既にその場に立っている敵は一人も

いなかった。

 冒険者たちはそれなりの被害を受けはしたものの、誰一人欠ける事なく無事、第一

の関門を突破したのである。

 

 という辺りで、第一回のセッションは終了になった。

 次回へ続く。