ダンジョン&ドラゴンズ スカイプオンラインセッション「国境の城塞」 第二幕

 第一回はこちら

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2012/06/12/144643


 前回、見事ドラゴンボーン率いる誘拐団を倒した一行は、さっそく穴倉に捨て置か

れたぼろ雑巾のようなヒューマン――ゴルディの様子を確認する。


DM「ゴルディの顔は青褪めていて、何やらよくわからないうわ言を繰り返している

ね。どうやら毒を使われているようだ。かなり衰弱しているよ」

ルトラ「介抱できますか?」

DM「《治療》で振ってみてくれ」

一同「《治療》……?」

 

 顔を見合わせる一同。

 

クリス「私は治療はry」

ワシュキツ「モルグランは持ってないか?」

モルグラン「無いな」

マードゥッカ「わしも持っとらんぞ」

ルトラ「一応ある。低いけど……」

 

 不安を感じる一同であったが、技能なしよりはあった方がマシだろうという判断に

よって、ルトラに治療を任せる事に。その判断は結果的に正しく、ゴルディの容態を

多少は安定させる事に成功する。

 

 しかし、いつまでもこんな場所にいては、またいつ容態が悪化するかはわからな

い。一同の意見は、大休憩を取りつつ、早めに安息砦へ引き返そうということで一致

した。

 

 しかし、ゴルディを連れて安息砦の出入り口に戻れば、鷹のように目を光らせてい

るフェルディナンド・ロンニックに見つかってしまうだろう。頭を悩ませるパーティ

であったが、そこでクリスが声をあげる。

 

クリス「私にいい考えがあるよ」

 

 クリスは気絶していたドラゴンボーンの傭兵を起こし、まずは情報を得ようとする

が、出てくる情報は既に知られている事ばかりであった。

 即ち、傭兵たちはロンニックに雇われゴルディを誘拐した事、ゴルディの協力者を

いぶりだす為にこの場所に陣取っていた事などである。

 

DM/傭兵「……ってわけさ。へへへ、知ってる事は話したぜ、命は助けてくれよ」

クリス「なるほどね。私の言うとおりにしたら、命は助けてやるよ。まずはロンニッ

クのところにいってこう言うんだよ。『冒険者達がゴルディを助けに来たが、そいつ

らは返り討ちにしてやった』ってね」

 

 クリスは傭兵を使ってロンニックに偽の情報を掴ませ、安息砦の警戒を緩めようと

考えているらしい。

 

 運動も治療も不得意なクリスであったが、どうやら悪知恵は働くようである。

 

 多少の金も握らされては、志の低い傭兵などは《交渉》での対決に勝てようはずも

ない。

DM/傭兵「わかった、約束するよ。へへへ」


 クリスに言いくるめられた傭兵は、ロンニックの元に偽の報告をする為にその場か

ら去っていった。

 

 かくして大休憩のあと、一同は即座に行動を開始した。

 途中、ゴルディの体調が悪化する場面があったものの、再び《治療》ロールに成功

して事なきを得た一同は、雨の降る夜更けに安息砦へと帰還する。

 

 いくらなんでもゴルディを連れて出入り口から入っては見つかるだろうと考えた一

同は、あまり使われていない通路からこっそりと砦の内部へと侵入する事に。

 

 この際、《隠密》ロールを振る一同だったが、クリスの事前の機転により大幅な難

易度の軽減を受けており、無事に砦への帰還を果たす事に成功した。

 砦への帰還を果たした一同は、意外な人物に迎えられる。

 

DM/ベンウィック「おお、お前さんがた、戻ってきたんだな!」

マードゥッカ「なんでこっそり戻ってきたのに見つかるんじゃ?」

DM「えー……徘徊してたんじゃないかな(?)


 文句はシナリオに言ってください。


 ベンウィックはゴルディの容態を見ると、すぐにゴルディの家へと運ぼうと提案す

る。彼は熟練の薬剤師であり、解毒剤の調合などはお手のものであるらしい。

 

 ロンニックに偽の情報を掴ませたとはいえ、洞窟にいって確かめられればすぐに見

破られてしまう事である。そうなれば、安息砦のどこも安全な場所ではなくなってし

まうだろう。今のところは、ゴルディの家がもっとも安全な場所であるはずだ。

 

 家へと運ばれたゴルディは、さっそくベンウィックの治療を受ける事になった。

 彼は冒険者たちにも治療の手伝いを頼み、何人かがこれに応じて彼を手伝う事に

なった。

 しばらくして、ゴルディの容態は無事安定し、冒険者たちはようやく一息つく事が

出来たのである。

 

 ベンウィックはゴルディを助けたお礼として、冒険者達を酒場に誘う。

 ゴルディは明日の朝には意識を取り戻すだろう。そうなれば、ロンニックの悪事の

証拠を掴む事が出来る。彼にはもうひとり、金髪のサールという協力者がおり、彼女

とゴルディの証言があれば、あの悪党は破滅するだろう……ベンウィックは冒険者た

ちに酒を振舞いながら、そう語る。

 

 程なくしてベンウィックは席を立ち、ささやかな酒宴も終わろうとする頃……

 

DM「じゃあ、《知覚》で振ってみて」

一同「えっ」

 

 ベンウィックが酒場から出ていくのと同時に、酒場にいたごろつきの一人が出て

行った事に気付いた冒険者たちは、嘘の情報を見破ったロンニックによる襲撃がある

と判断、酒場の裏手から出て襲撃者たちの裏をかこうという意見で一致する。

 

 しかし、酒場の裏手から出ようとする一行の前に、思わぬ敵が立ちはだかった!

DM/マスター「お客さん、そっちは勝手口だよ」

 

 酒場のマスターの常識的対応に思わず固まる冒険者たち。

 なんとかマスターを誤魔化そうと頭を悩ませる一行。

 そして出てきた言い訳とは!

 

マードゥッカ「ちょ、ちょっともよおしてのう」

DM/マスター「便所はあっちだよ」

 

 マードゥッカ必殺のジジイなのでトイレが近いんだよロールも、すげない対応でや

り過ごすマスター(交渉ロールは振ったものの、ちょっと催したからといって店の裏

口から集団で出ようとする一団が怪しすぎるという理由からペナルティを食らった上

に出目も低かった)。

 

 思わぬ強敵の出現に頭を悩ませる一行だったが、

 

クリス「ていうか、別に誤魔化す必要なくない?」

 

 というクリスの一言により、事情を話して裏手から出る事に。

 そうだね、別に誤魔化すところではないね。冒険者の悪い癖である。

 

 酒場の入り口をぐるりと取り囲むごろつきたちであったが、元々石がかすっただけ

で死ぬ程度の虚弱体質な上に、背後から冒険者たちの不意打ちを受けたのではひとた

まりも無い。

 ひとり、またひとりとごろつきが倒れ、いよいよ最後の一人となった時、不意に警

鐘が薄暗い空に鳴り響く!

 

DM「君達があっけに取られている隙をついて、ごろつきは逃げ出したよ。入れ替わり

に、金髪の女性が慌てた様子で君たちの元にやってきて言う。『ロンニックの銀行が

燃えているわ!』」

一同「……誰?」

DM「サールだよ」

一同「誰?」

 

 まぁ、ベンウィックの話にちょっと出てきただけな上に、直後に戦闘だったから

ね……。

 

 サールはPC達にロンニックの銀行が燃えている事を告げる。

 彼女が言うには、ロンニックは雇ったごろつきが不利だと見るや、自らの悪事の証

拠隠滅の為に、銀行に火を放ったらしい。

 とっとと証拠が燃える前に回収してこいや! というサールの勢いに気圧されつつ

銀行の内部へと潜入した冒険者たちが見たものは、所狭しと暴れ回るエレメンタルパ

レード(?)だった!

 

 かくして、再び戦端は開かれた。

 

DM「この戦場では、このファイア・トークンが毎ラウンド燃え移っていくよ。ここに

突っ込んだり隣接したりするとダメージね」

 

 このギミックにより、ラウンドを重ねるごとにマップが火に覆われ、攻撃が命中し

なくても冒険者たちにダメージを与える事が出来る!

 しめしめ……と、DMは思っていたのだが……。

 

ルトラ「DM、一日毎パワーのヘラルドで火を消火できません?」

DM「ん、んん~? まぁ、出来るんじゃないかな?」(適当)

 

 ルトラのクラス、ウォーデンの一日毎パワーであるフォーム・オブ・ザ・ウィン

ターズ・ヘラルドは、冷気を発して辺りを霜で多い、移動困難にさせたり冷気ダメー

ジを与えたりするパワーである。

 

 まぁ、冷気ダメージだし火も消えるんじゃん?

 ……などと、適当に考えたのがDMの過ちであった。

 

 ヘラルドの範囲は2*2、これが相当広い範囲に及んでおり、しかも持続が戦闘が終了

するまでときたものである。

 ルトラが移動するたびに火が消えていき、もはやルトラは移動するドワーフスプリ

ンクラー状態

 

 ゲゲェーッ! 失敗した!

 しかし、DMにはまだエレメンタルちゃんたちがいる!

 

 だがしかし、可愛いエレメンタルちゃんたちも、モルグランやワシュキツの無慈悲

な一撃に、奮戦虚しく一匹、また一匹と精霊界へと戻っていく。

 

 やがて最後の岩と炎の精霊がモルグランの槍に串刺しにされた頃、銀行を覆ってい

た炎もすっかり弱まり、冒険者たちは無事、ロンニックの悪事の証拠を手に入れる事

に成功したのだった……

 

 

 という辺りで、今回のセッションは終了。