ダンジョン&ドラゴンズ スカイプオンラインセッション「国境の城塞」 第一幕

かなり前に書いた、栄光を求めて旅する冒険者たちはこちら

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2012/03/23/103630

 

 

 駆け出しの冒険者一向がキャラバンの護衛をしながら辿り着いたのは、「混沌の傷

跡」と呼ばれる呪われた地のそばに立つ『安息砦』という場所だった。

 

DM「じゃあ、キャラバンの隊長は君たちに報酬を渡そうとするよ。ところで、君たち

のリーダーは……」

一行「うーん……」

 

 まぁ、リーダーと言われては、なかなか声を上げ辛いのは確かである。

 まごつく一行。しかし、そこであえて一歩を踏み出す勇者がいた!

 

クリス「マードゥッカがいいんじゃない? 最年長だし」

マードゥッカ「え、わし?」

 

 他薦である。

 しかし、その一言でなんとなく動き出す一行。

 

ワシュキツ「そうだな、マードゥッカ様なら」

ルトラ「うんうん」

モルグラン「……」

 

 なんだかんだのうちにパーティのリーダーに祭り上げられるマードゥッカ。

 仕方なしにキャラバンの隊長から報酬の50gpを受け取ることに。

 

DM/隊長「やあ、助かったよ。何かあったときはまた頼んだよ」

マードゥッカ「こちらこそ、よろしくお願いいたしますぞ。マードゥッカ王国建国の

ために資金を溜めなければなりませんからな

一同「!?」

 

 どうやら、マードゥッカには国を建てるという途方もない野望があったらしい。

 あんた、そりゃあ大それた望みすぎるだろう(というか、どー考えても口から出任

せだが)。

 しかし、乱世ではそれくらいの野心を持っていた方が成功するのであろう。そもそ

も、D&Dのシステム上、レベルが上がっていけば神性存在にすらなれるのである。

 国の一つや二つ、作ったところでおかしくはない。

 

 そんなマードゥッカの野望が判明したところで、安息砦の中に入った一行は、早速

妙な男に声をかけられる。

 

DM/男「冒険者の方々とお見受けしますが……?」

クリス「まぁそうだけど……」

DM/男「実は、あなたがたに折り入ってお願いしたいことが……」

 

 男が言うには、彼の主人である安息砦の実力者の一人、ベンウィックが、冒険者達

と話がしたいという。どうやら、あまり安息砦の中の人間には聞かれたくない話のよ

うだ。

 はっきり言ってこの超怪しい申し出に、思わず警戒する一堂。

 

ルトラ「怪しい……」

ワシュキツ「いかがなさいますか、マードゥッカ様?」

マードゥッカ「うーむ……」

モルグラン「……」

DM/男「ささやかながら、皆様をおもてなしする宴の用意もしておりますが……」

マードゥッカ「行きましょう(キリッ

 

 流石に、酒と食い物に弱いドワーフの集団である。

 酒宴が用意されているとなれば、どんなに怪しくてもとりあえず話を聞くかという

気になるらしい。

 そんなこんなで、ベンウィックの人柄などを調べつつ、冒険者達はほいほいと彼の

屋敷へと向かった冒険者達であったが、そこで出迎えたのはでっぷりと太った人のよ

さそうな老年の男――ベンウィックであった。

 

 ベンウィックからささやかな酒宴を受ける冒険者たち。

 

DM「では、先ほど君たちに話かけてきた男、ヴェンが君たちのグラスに酒を注ぐよ。

何を飲む?」

一同「エールで」

クリス「エールなんて泥臭い飲み物なんか飲んじゃいられないね! わたしはワイン

を頼むよ

 

 ここぞとばかりに、エルフの悪い部分だけ引き継ぎましたと言わんばかりに協調性

の取れない言動をするクリス。

 呪われた地で生まれたために迫害されてきたという話だったが、そんな事は関係な

く本人の性格の問題だったのでは……?

 

 ともあれ、歓待を受けつつベンウィックの話を聞く一同。

 ベンウィックは冒険者たちに、この安息砦の銀行家、フェルデナンド・ロンニック

という男が、かつてフォールクレストの街を荒らしまわった盗賊の頭領であること、

かつてフォールクレストの「月の歌寺院」から悪神ゼヒーアの信徒に盗まれた「毒蛇

の瞳」という宝石を所持していること、かの男は邪悪なるティアマトを信仰してお

り、安息砦に対して何がしかの企てを行おうとしていることなどを話す。

 

 これらの情報は、ロンニックの銀行で働いていた、ベンウィックの協力者であるゴ

ルディという男からもたらされたものであったが、このゴルディが行方知れずとなっ

てしまっているらしい。

 

 ベンウィックはフェルデナンド・ロンニックの企みを憂慮しており、それを阻止し

ようと考えているらしい。そこでまずは冒険者たちにゴルディを救出してもらい、ロ

ンニックの悪事の証拠を掴みたいというのである。

 

 さらわれたゴルディは安息砦から少し離れた洞窟に監禁されており、ロンニックは

その事を隠す気もないようだ。恐らく、ゴルディの仲間――つまりはベンウィックと

その協力者――をおびき寄せるつもりなのだろう。

 

 ぶっちゃけかなりの危険な任務だが、そこは善属性が多い冒険者たち一向、悪をの

さばらせておくことは出来ん! とばかりに、この依頼を受けることに。

 

 そんなわけで翌日、朝早くから砦を出発した一行は、特に大過なく目的の洞窟へと

辿り付いた。洞窟の前には二匹のリザードフォークが見張りとして立っていたが、

 

マードゥッカ「ワシュキツさん、やっておしまい!」

ワシュキツ「はっ、マードゥッカ様の仰る通りに!」

 

 水戸黄門よろしく、マードゥッカの命を受けたワシュキツの隠密+不意打ちにより

あっという間に倒されてしまう。

 気をよくした一行は、そのまま洞窟の奥へと進んで行き、隠密してはリザード

フォークを不意打ちして八つ裂きにするという凶行を繰り返していたが、

 

DM「さて、では知覚で振ってみてくれ……では気付いたな。この小部屋の天井近く

に、横穴が開いているのが見えるね。昇ってみるなら運動で振ってみてくれ」

一同「運動かぁ」

クリス「私は運動は苦手なんだよ!

 

 ここぞとばかりにエルフの悪いところばかりを引き継いだかのようなry

 しかし、何のかんのと言いながら、穴があったら顔を突っ込むのが冒険者である。

一行が偵察の為に穴を進んで行くと、どうやらこの穴は、洞窟の一番奥……つまり、

ゴルディの捕えられている場所に繋がっているらしい事が判明する。

 

 冒険者たちは、眼下の開けた空間……洞窟の最奥……に、大勢のリザードフォーク

と一匹のドラゴンボーン、そして、大きな穴の底にぼろ雑巾のようになって転がる一

人のヒューマンを確認する。

 恐らくそのヒューマンこそがゴルディであろうと推測した冒険者たちは、いったん

横穴の入り口まで戻ると、しばしの作戦会議に入った。

 

クリス「横穴を進んだらまた不意を打てそうだけど……」

マードゥッカ「しかしゴルディを人質に取られるのは不味い」

ワシュキツ「正面から行きましょうか?」

一同「うーん」

 

 悩む一同。

 横穴から進めば不意を打てそうな事は確かである。しかし、横穴から広間に進むと

降り立つ場所が狭く、また、不意を打たれ敵が混乱することで、どさくさのうちにゴ

ルディが人質に取られる事を懸念していたのであるが……

 

ルトラ「じゃあ、わたしが正面からいって敵の視線をひきつけるから、みんなは裏か

ら回って不意打ちするっていうのはどう?」

一同「え!?」

 

 意外な申し出に驚く一同であったが、確かにそれは有効な作戦に思われた。

 かくして一同は、正面から攻めるルトラと、裏から回る他メンバーによる挟撃とい

う作戦を敢行する。

 

ルトラ「やあやあ我こそはー」

DM/リザードフォーク「えcdrvtbyぬみ」

ルトラ「こ、言葉がわからない……

 

 リザードフォークの話す謎の言語(ドラゴン語)に思わず挫けそうになったもの

の、幸いにして、敵に共通語のわかるドラゴンボーンがいたことにより窮地(?)を

脱するルトラ。

 

ドラゴンボーン「なんだテメェは?」

ルトラ「ゴルディを返してもらいにきた!」

ドラゴンボーン「ハハハ、テメェのようなちんちくりんのドワーフ野郎が、たった一

人で威勢のいいこった!」

 

 ルトラ一人と見て完全に油断するドラゴンボーンとリザードフォーク一行。

 そんな彼らに、横穴から降り立った冒険者達が容赦なく襲いかかる!

 

 かくして戦端は開かれた。

 敵は冒険者たちの二倍以上の数はいようかといった具合であったが、ここでついに

眠れる獅子が目を覚ます。

 

DM「では……モルグランのターンだな」

クリス「ここはあの魔術師っぽい奴を狙って欲しいね」

DM(いい目のつけどころだな。こいつの攻撃は痛いぜぇ~? クックック)

モルグラン「わかった。マイナーアクションで構え、標準アクションで突撃……ダ

メージは32

DM「……し、死にました

 

 突撃一代男、モルグランの破壊力たるや、DMの想定以上である。1Lvが出すべきダ

メージではないと思うのだが……。

 

マードゥッカ「え、ちょ、すごぉ! モルさんすごいよぉ!」

 

 モルグランの活躍を目前にし、子供のようにはしゃぐマードゥッカ。

 それを苦々しげに見つめる男がいた。

 ワシュキツである。

 

ワシュキツ「くっ、モルグランめ……! マードゥッカ様、見ていてください! あ

の程度ならば私も……!」

 

 その言葉を証明するように、一撃で近くのリザードフォークを葬り去るワシュキ

ツ。モルグランとワシュキツは互いに(というかワシュキツが一方的に)競い合うよ

うに、次々と敵を薙ぎ倒していく。

 

 ならば、せめて孤立したルトラを凹してやろうとDMが駒を進めると……

 

ルトラ「じゃあ、一日毎パワーを使います。霜が地面を覆って、周囲2マスが移動困難

地形になり、ACが上がります」

DM「ゲゲェーッ!

 

 元々、パーティ一一硬いルトラである。

 それが更にACが上昇されては、Lv1~2の雑魚では掠りもしない。ただたんに足止め

され、更に当たりもしない攻撃を延々ルトラに放ち続けるリザードフォークたち。た

まに攻撃が当たるものの、窮地に追い詰めるまでには至らない。

 

 かくして、一匹、また一匹とリザードフォーク達は倒されて行き、とうとうモルグ

ランの槍がドラゴンボーンを打ち倒した時には、既にその場に立っている敵は一人も

いなかった。

 冒険者たちはそれなりの被害を受けはしたものの、誰一人欠ける事なく無事、第一

の関門を突破したのである。

 

 という辺りで、第一回のセッションは終了になった。

 次回へ続く。

ダンジョン&ドラゴンズ スカイプオンラインセッション「国境の城塞」 第ゼロ幕

「D&Dやりたいですね」

「じゃあやる?」

 

 キャンペーンの始まりは、常にこのような軽い思い付きから始まる。

 今回ターゲットとなるシステムは、かの有名なダンジョンズ&ドラゴンズ、その最新

作である4Eである(まぁ、最新とかいってももう数年前に出たのだが……)。

 

 しかし、自慢ではないがワタシは1からシナリオを創作するのは大の苦手である。

 世のゲームマスター(D&Dではダンジョンマスター)予備軍の諸氏の中にも、

 

「私、GMやってみたいけどシナリオ思い付かないし……」

「シナリオ……シナリオさえあれば、あんなシステムに……!」

 

 などなど、悔し涙に枕を濡らす方も多いだろう。

 

 だが安心して欲しい!

 

 偉大なるD&Dの公式ホームページには、そんなGM予備軍諸氏の悩みを一手に解決す

る手段が用意されている! それが「公式シナリオ」である。

 これさえあれば、どんなM-Boy(もやしボーイ)も、たちどころに冒険者達を地獄の

底に叩き落とす事が出来るだろう!

 

 というわけで、そんな地獄の底を潜り抜けようとするパーティーの面々は以下の通

り。

 

 

・クリストファー=アルキン=ウィンターフォージド PL:妄想殿下

 通称クリス。ペイロアを信奉するハーフエルフの女。職業:アーデント(指揮役)。

 サイオニックパワーで、味方にもう一回攻撃させたりする。激しくウザい。

 

 酒はワインに限るという、およそエルフの悪いところばかり受け継いだような持論

を持っているが、ドワーフばかりのPTで大丈夫か?

 

 

・モルグラン PL:shachi

 ガチムチドワーフその1。職業:スレイヤー(撃破役)。

 実家が古武術の道場をやっているらしく、謎の構えによりダメージロールや命中ロー

ルが上がる。そしてロングスピアを手に突撃すると、敵が死ぬ。激しくやめて欲しい。

 

 古武術とかは嘘ですすみません。

 

 

・ルトラ PL:にゃも

 ドワーフその2。職業:ウォーデン(防衛)。

 一日毎パワーで周囲に冷気を撒き散らし、2マス以内を移動困難地形にする通称"絶対

零度の女"。ただし、身長は小さい。

 

 ダイス目が悪く攻撃がヒットしない事が多いが、移動困難地形と高いACが激しくGM

を苦しめる。

 

 

・ワシュキツ PL:いぶにん

 ハーフオークの正義の暗殺者。正義の? 職業:ローグ(撃破役)。

「柄頭顔面打ち!」 相手は死んだ。スイーツ(笑)。本当に死ぬから困る。

 

 ならず者的な風貌だが、PLがセッション前にむこうぶちのBL回を読んでしまったた

め、子犬系キャラクターへと変貌を遂げた。

 

 

・マードゥッカ PL:けんた

 ドワーフその3。このPT、ヒューマンいねえな……。職業:ウィザード(制御)。

 なんだかんだでPTのリーダーに祭り上げられたお調子者のジジイ。

 主にフレイミング・スフィアーの力で戦場にいい匂いを漂わせたりする。つらい。

 

 なんか、大いなる野望があるらしい。口癖は「みんなには内緒じゃぞ!」

 

 

 そんな彼らが"混沌の傷跡"と呼ばれる呪われた地を訪れた時、陰謀劇の幕が上がる!

 という辺りで、次回へ続く。

東方アリアンロッドキャンペーン 第一回

 

 キャラクター紹介はこちら。

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2012/03/12/213919

 

・第一話

 

 というわけで、かようなキャラクター達を迎え始まった東方アリアンロッドキャン

ペーン第一話。

 

GM「時は快晴の広がる皐月の頃、洋上を往く帆船”猿飛丸”の甲板に、君達の姿がある」

 

 という出だしから、セッションは始まった。

 今回は、PC達がいまだ合流していない設定で始めたので、まだPCは船の思い思いの

場所でふらふらとしている。

 

GM「というわけで、君たちは何をしている?」

コルコ「釣りをしてます」

モモコ「剣の稽古をしています!」

ザルナ「騎龍(乗騎として訓練された龍で、バートルの相棒)の上で昼寝を」

いろり「風の当たるところに……」

オウラン「我は行商人のフリを……」

一同「えっ?」

GM/船員「そ、その鎖鎌は……?」

オウラン「売り物だが?

 

 オウランさんは商人だった。

 

オウラン「商人は怪しまれるな。次は村娘にしておくか……

一同「えっ?」

 

 などと漫才にいそしむPC達であったが、そんな平和な航海がいつまでも続くは

ずがない。

 

 船員があげた不審げな声にPCたちが目を凝らすと、どうやら水平線の彼方から猛ス

ピードで猿飛丸へと向かってくる船影がある。それも、ひとつではなく何艘も。サカナ

ドクロをはためかせたその船は、この近海を荒らしまわるイワシのオカシラ団(命名:

モモコ)だったのだ!

 

 海賊船からの砲撃が、猿飛丸に大きな穴を穿つ。

 今や沈没寸前の猿飛丸にこれ以上残っていても死ぬだけだ。

 そう判断したPC達は、やむなく海中へ飛び込み、運命を天に任せるのだった。

 

 

 海に飛び込んだPC達は、やがて見知らぬ砂浜で目を覚ます。

 とりあえず自己紹介を済ませたものの、砂浜には何も見当たらない。

 

モモコ「ここが何処だかわかりますか?」

GM「じゃあ、知力判定で振ってくれ(どうせわからんだろうが)」

コルコ「あ、クリティカル

 

 以前文献で海岸線を見た覚えがあったらしい。なんという博識ぶり。

 コルコバードによれば、この島はイリアズマという、大陸に近い島のようだ。

 島の北の方に村があるという事なので、とりあえず探すべえと移動を始める一行。

 ふわふわ~っとしたいろりを先頭に歩き始めた一行だったが、感覚だけで歩くいろり

が道に迷ったりして、結局、村についたのは夜も更けた頃である。

 

 やっとの思いで辿り着いた村だったが、なにやら雰囲気がおかしい様子。

 夜だという事を抜きにしても、明かりもなければ人影もない。

 わかりやすく言えば陰鬱な村である。

 

モモコ「村の人に話を聞いてみましょう」

オウラン「頼もう」(戸口バンバン

GM/村人「はーい……」 がらっ 「ひっ!?」

オウラン「こわがりすぎだろ」

 

 オウランさんに怯える村人をなだめ、事情を説明すると、村人は「早くこの村から立

ち去れ」とPC達に警告する。さて、いったいどうしたことだとPC達がいぶかしむ暇も

あらばこそ、不意に村中に響く子供の叫び声!

 

 村人の制止を振り切り村の広場へ駆けつけたPC達が見たものは、不快な笑い声をあ

げるインスマンス面の一団と、その足元にうずくまる、血を流した犬を抱く子供の姿

だった!

 

ザルナ「こいつら、何者だ……!」

GM/魚人A「ギョッギョッギョ……その犬が悪いんでギルマン?」

GM/魚人B「我輩らの足にいきなり噛み付きおってからに!」

ザルナ「間違いねぇ、ギルマンだ!!

 

 子供が無体な仕打ちを受けているとなれば、モモコが放っておけるはずがない。

 あわやという所で子供と魚人の間に割ってはいると、あっという間に魚人Aを三枚に

卸してしまう。演出で。

 

GM/魚人B「ぎょ、魚人Aー!?」

GM/魚人C「Aの奴、嫁が産卵期に入ったって嬉しそうに言ってたでギルマンのに!」

 

 激昂した魚人達とPC達は、なし崩し的に戦闘へ突入。

 ……するものの、所詮雑魚、Lv3PC達に勝てるはずもない。

  まあまあ善戦したものの、哀れ焼き魚にされたり、刺身にされたりしてしまう。

 

 颯爽と子供を助けたPC達は、見目麗しい、線の細い少年に声をかけられる。

 少年はおどおどした様子で村人に魚人の死体を隠すように指示すると、PC達に自分

の家に来て欲しいと言う。

 これも乗りかかった船と、PC達は少年の招きに応じて彼の家へ向かうことにした。

 

 

 少年と共にPC達が家に戻ると、家では眼鏡の美人がPC……というかイズミを出迎え

る。

 彼女はコダテ・マキといって、少年に仕えているらしい。

 少年はイズミと名乗り、PC達に島の現状を説明する。

 

・この島が、イリアズマと呼ばれる島であった。そして、自分はそのイリアズマを治め

るタテ家の生き残りである

・かつてイリアズマはダイワ(日本みたいなもの)から大陸への要所として隆盛を誇っ

ていたアズマ諸島の玄関口だった

・しかし、七年前、イワシのオカシラ団の襲撃を受け、占領されてしまった

・タテ家は一族郎党皆殺しにあい、村人達も不当な弾圧を受けてきた

・現在、村人達は魚人への反乱を計画中である

 

 イズミはこの計画に乗り気ではないようだが、それを止める力もないらしい。

 そこでイズミはPC達に、この反乱に力を貸し、PC達に魚人の頭を倒してくれと依頼

する。そういわれては断れないPC達は、自分のふがいなさに悩むイズミを励ましたり

しつつ、反乱に参加する事に。

 

 襲撃場所は「領主の館」と「港」の二箇所。

 港から船が出払っている間に反乱を起こし、一挙に占拠する作戦だという。

 PC達は決行日までの二日間、作戦を練ることに。

 

 その結果、

 

・港で反乱を起こしてもらい、領主の館の警備を薄くする

・同時に、古井戸の底にある秘密の抜け道から領主の館へ忍び込み、魚人の領主を倒す

 

 という事になった。

 

 

 さて、いよいよ決行日当日。

 

GM「さて、では当日、君たちが古井戸へ向かうと……」

PL達「あ、その前に。ギルドを組みたいんですが……」

 

 と言う提案が。

 GMである私は少し悩んだ。実際、今回は特にギルドを組ませる予定はなかったので

ある。しかし、PLから提案があった以上、ギルドを組ませるべきと判断した。

 別段深くセッション内容に関わる事でなし、無碍に断ることも出来るが、それで得る

のはモチベーションの低下くらいのものである。あまり得策ではない。

 

 というわけで、さっくりとモモコをギルマスに据えたギルドが結成された。

 ギルド名は「暁の吾亦紅(われもこう)」

 何故そんな名前になったかは、発案者であるコルコバードに聞いて欲しい。

 ギルドスキルは祝福と蘇生という鉄板に決定し、いよいよもって古井戸へと向かう事

に。

 

 古井戸の秘密の通路に何故か張り巡らされていたエネルギーバリアなどのトラップ

に、この通路を作った先祖の謎の殺意を感じつつ、一向はまんまと領主の館へ潜入す

る事に成功した。

 

 古井戸の通路から地下1階に抜けたPC達は、上の階が俄かに慌しくなった事に気付

く。どうやら作戦が順調に進んでいるらしい事に気をよくしたPC達は、そのままずん

ずかと領主の館を制覇していく。

 

GM「では、危険感知で……どうやらここの通路は鴬張りの床になっているようだね。

迂闊に踏み込むと、館に残っているギルマンに気付かれるよ」

コルコ「じゃあ、《フライト》を使います。飛行状態なら鳴らないよね?」

GM「……」

 

 《フライト》は正直、かなり強い呪文だと思います。

 

 そんなこんなで、あの手この手でトラップをやり過ごしつつ、一向はとうとう領主の

館の最上階へ!

 

GM/ギルマン代官「な、なんだ貴様らはでギルマン! 先生、せんせーい!」

GM/先生:「どぉれ……」

 

 時代劇のお約束を踏襲しつつ、GMがどどんとふに置いた駒が↓

 

 

一同「ただの三船敏郎じゃねえか!!」

 

 そうだね、三船敏郎だね。

 

GM「えー、このミフネギルマンは……」

一同「なんだよミフネギルマンって!(爆笑)」

GM「ちなみに、ミフネギルマンには名優独特のオーラが備わっているよ。具体的には

スーパーレインボー》」

一同「ゲゲェーッ!!

 

 スーパーレインボーは、命中を+1d6したり達成値を上げたりするトラップである。

 結構痛い。

 

 ともあれ、決戦が始まった!

 PC達は代官の《司令塔》(雑魚の達成値を上昇させる特技)やミフネギルマンの圧

倒的実力に苦戦するものの、そこは仮にもLv3。少しずつ戦場はPC優勢になっていく。

 

GM/ミフネギルマン「やるでギルマン。ならば出し惜しみはなしといこう!」

オウラン「何!?」

GM/ミフネギルマン「食らえ、我が奥義……!」

GM「そういうとミフネギルマンは、マイナーで《スタイル:ミフネ》を使用!」

モモコ「《スタイル:ミフネ》!? 聞いた事ないです! どんな特技なんですか?」

GM「ああいや、強そうな気分に浸るだけ

ザルナ「それだけかよ!!」

GM「格好いいだろう!?」

 

 格好良さは重要だよ、うん。多分。

 しかしこれが功を奏したのか、GMのダメージダイスが異様に高い!

 

GM「43点物理!」

いろり「《プロテクション》。3d6+3で……17

 

 平均4以上の出目を出すのはやめていただきたい。

 そんないろりの加護もあり、やがてミフネギルマンも倒れ、代官もコルコの《ファイ

アボルト》によっていい具合に焼かれてしまってゲームセット。

 

 PC達が戦いを終えるのと同時に、港から村人の歓声があがる。

 どうやら、港でも村人が勝利を得たようである。

 

 

 さて、その後。

 見事イリアズマを取り戻したPC達に、イズミはある事を頼む。

 

GM/イズミ「今回の事で痛感しました。ボクはやはり、人の上に立てる人間じゃない」

GM/イズミ「そこで考えたのですが、どうでしょうか、皆様。このイリアズマの領主

を、ボクから引き継いではいただけないでしょうか?」

一同「えーっ!?」

 

 彼が言うには、これから先、海賊の本体が報復に来るのは確実だろう、その時に自分

ではそれを撃退する実力はない、という事である。

 

 イズミの提案に、しばし相談する一同。

 そうして出した結論は……

 

モモコ「お断りします」

ザルナ「それはただの責任放棄じゃあないですかい」

 

 ふむ、と、この答えにGMは改めて考える事になってしまった。

 というのも、GMの想定ではここで領主を引き継いで貰う予定だったからである。

 モモコはお家を復興させたがっているし、受けるかなと楽観していたのだ。

 しかしまぁ、確かに責任放棄といわれればそうかもしれない。PCの言う事ももっと

もであろう。

 

 まぁいい、それはそれでやりようもある。

 しかし、一応イズミのフォローは入れておかねばなるまい。

 

GM「では、君たちがそう答えると、マキがフォローするように言うよ」

GM/マキ「確かに、責任放棄といわれても仕方ないでしょうね。でも、まだ成人前の、

それも女の子の肩には、荷が重過ぎる仕事ですわ」

モモコ「えっ」

ザルナ「……はい?」

オウラン「女だったのか……」

いろり「あれ? 何故か女の子って思い込んでました」

 

 一言もそんな事は言っていないはずなのだが……。

 

いろり「気付いてた事にしよう

 

 いろり。直感で生きる、女子力の高い女である。

 

 イズミはタテ家最後の生き残りとして男子として振舞っていたものの、その実は13、

4の女子だったのだ。彼……いや、彼女の自信のなさも、これに起因するものだったの

だろう。

 しかし、PC達に励まされたイズミは一念発起。改めてタテ家の領主として、この島

を治める事を心に決める。勿論、当分の間PC達の助力は必要だろうが……。

 

 

 というところで、第一回目は終了。

 次回へ続く。

東方アリアンロッドキャンペーン 第零回

 エリンディル大陸は大きく二つに分けられる。

 即ち、西方と東方である。

 西方はヨーロッパ風世界観、東方はまぁ、アジアと思っていただけばイメージ的には

間違いないのではないだろうか。

 

 その東方エリンディルの世界観を紹介する「エリンディル東方ガイド」が発売され、

西方風世界観に飽きていたワタシは「そうだ、東方に行こう」と思いついた。

 

 そうしてはじまったのが「東方アリアンロッドキャンペーン」である。

 実に安直だなぁ。

 

 面子は以下の通り↓

 

 

・アベノ・モモコ(ヒューリン/ウォーリア/サムライ) PL:卵

 パーティの主戦力。

 お取潰しにあったアベノ家の一人娘で、現在はお家再興を誓い武者修行と称してふら

ふらしている。

 

 素直な正義漢(漢?)で、パーティの良心。

 困ったらモモコの情に訴えかける作戦に出ればよいとはGM談。

 

 

・コルコバード・ホリィ(エルダナーン/メイジ/セージ) PL:Ragi

 西方出身のメイジ。パーティの知力担当。

 火力はファイアボルトオンリーだが知力系判定なら任せろー!(バリバリ

 基本的にはサポートの鬼。的確なアドヴァイスにより敵の弱点を見抜く。

 

 パーティの良心その2。

 帽子フェチで、東方には「究極の帽子」を探しに来た。

 

 

・御子芝いろり(ヒューリン/アコライト/カンナギ) PL:ひくら

 パーティの防御兼おとぼけ担当。

 彼女のプロテクションが何度も窮地を救う事になる事を、パーティはまだ知らない。

 神社の娘らしく、商売繁盛のお守りを持っているが、それより彼女自身の幸運補正の

方が強い。

 

 将来的にプロテクション5d6の出目が20で「平均」とか言われる事になる。

 GM泣かせはいけないと思います。

 

 

・シオング・ザルナバル(フィルボル/シーフ/バートル) PL:PE

 パーティのトラップ解除兼汚れ役担当。

 元暗殺業の渡世人らしく、隙あらば汚い手段で事態を解決しようとする。

 1Eであるこの頃はパーティの主力打撃を担っていた。

 

 トラップ解除担当の割りにトラップ解除出来ずに引っかかっている事の方が多い。

 器用高いのになんで? PLが三下気質だから?

 

 

・オウラン(ドゥアン/ウォーリア/ニンジャ) PL:せいろ

 パーティのボケ担当。

 巨漢(333cm)の商人

 何も怪しいところはない、何処にでもいそうな商人

 この人、黒尽くめなんだけど……。

 

 パーティの範囲攻撃担当だが、火力がイマイチ。

 しかしカバーリングなら俺に任せろー!(バリバリ

 

 

 果たして、東方の地で彼らを待つ冒険とは! 乞うご期待!

 というところで、次回へ続く。