エルダーテイルTRPG改めログホライズンTRPG第一話最終回『ススキノからの脱出』プレイレポ・その5

 前回の内容はこちら

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2014/09/13/210956

 

 

 何だかんだありつつ、無事に船で海峡を越えた冒険者たち。

 だが、そこはまだエッゾ帝国領の外れである。

 

GM「こんな辺境の場所まで来るのはよほどの物好きか冒険者だけなのか、ろくに開拓

もされておらず、街道は荒れ果て、その両脇には鬱蒼とした木々が生い茂っている。

その街道の先に、遠く天を衝く巨大な山脈が見える。そここそ、この冒険の最後の難

所、《ティアストーン山脈》だ」

 

 MMORPGのダンジョンとしては来た事があるものの、こうして実際に目の当たりに

すると、その険しさに圧倒される冒険者たち。

 だが、気圧されてばかりいても先には進めない。彼らは決意も新たに、ティアスト

ーン山脈の地下に眠るダンジョン、《パルムの深き場所》へと向かう。

 

モリソン「このダンジョンの適正レベルって何レベルなんですか?」

GM「そんなに高くないよ。確か60……あれ?

モリソン「無理じゃーん!」

 

 彼らのゲーム内レベルは35。推奨レベルは60。

 誤算である。

 

 というのも、私の場合はPCの作成より先んじてシナリオを作成するわけであるが

(何せ、PCの作成を待っているとセッションの時間まで上がってこないという事もザ

ラである)、ルールブックには「キャラクターのレベルに迷ったら90にしよう」と書

いてあるため、それを前提でシナリオを組んでいたのである。

 ところが、実際にプレイヤーが提出してきたPCのレベルは35であったため、食い違

いが起こってしまったのだ。

 

GM「ま、まぁ……TRPG的にはLv90だろうが1だろうがCRは1だよ!!

 

 確かに、このシステムでは、MMO時代のレベルがいくつだろうと、PCが強くなった

り弱くなったりする事はないが……苦しい言い訳である

 このような小さな齟齬がセッションへの没入感を下げる可能性もあるため、このブ

ログでは1週間前のキャラクター提出を推奨しています。なお、自分がプレイヤーの時

にそれが出来ているかどうかはry。

 

 閑話休題

 《大災害》後に初めて訪れるダンジョンは、ゲームであった頃とはまったく異なっ

た、不気味でおどろおどろしい印象を冒険者たちに与える。

 

アルミナ「ゲームの時は何度か通ったけど、こうして実際に見ると結構不気味ね」

 

 だが、足を止めている暇はない。

 一向は気を奮い立たせ、《パルムの深き場所》へと挑戦する!

 

 さて、ここでこのゲームにおけるダンジョンパートに入るわけであるが、このゲー

ムでは、一般的ないわゆる「ダンジョン」的なものは、「ミッション」というルール

内で処理される。

 

 ミッションとは、「何らかのシチュエーション」を処理する為に行われるこのゲー

ム独自のルールであり、とても平たく言えばすごろくのようなものである(適当)

 

 ミッションではまず、下記のような全体図が用意される。

 

f:id:blue876:20141112092848j:plain

《パルムの深き場所》全体図

 

 冒険者たちは、全員でひとつのコマを操作する。

 彼らは順番に2d6を振り、その値が目標値に達していれば次のエリアに進む事が出来

る。また、エリアごとにイベントが用意されている場合があり、その解決の為に能力

値などを使ってロールする事もある。

 

 今回はダンジョンなので、マスにはそのエリアの外観が記されているが、これがも

し「誰かを説得する」というシチュエーションであれば、「Aを説得する」「Aを連れ

てBを説得する」「説得したABを連れて○○を行う」のような行動がマスには書かれて

いるはずである。

 

 ミッションはラウンド進行で行われる(つまり、1ラウンドに各冒険者がミッション

進行の為に振れるダイスは1回である)。これは、ミッションには成功条件と失敗条件

が設定されており、それの達成条件に「3ラウンド経過後までにゴールに辿りつけなけ

れば~」のような条件が設定されているからである。

 

 今回は、下記のような条件が設定されている。

 

 

成功条件:

・パーティコマがゴールへ到達する。

パーティコマがゴールへ到達した時、消耗表:体力を1回振る。

 

失敗条件:

・パーティコマがミッション中、6ラウンド内にゴールに到達出来ない。

6ラウンド目のクリンナップフェイズ後、即座にコマをゴールに移動させる。

消耗表:体力に加えて、消耗表:気力、消耗表:物品を1回振る。

【備考】

3ラウンド目から、1ラウンド経過するごとに、全員に消耗カウンターを+1する。ミッ

ション勝利時、または敗北時に、消耗カウンターの数を、消耗表ロールの出目に足

す。

 

 成功しても失敗しても、コマはゴールへと到達する事にかわりはない。

 これは、例えミッションに失敗しても、それによってセッションが破綻するべきで

はないという、近年のシステムに見られる傾向である。

 

 人によっては、「結果が同じであればミッションを行う必要がないのでは?」と感

じる人もいるかもしれないが、このルールの処理は個人的には賛成である。例えば戦

闘に負けてしまったとか、最終局面でとても考えられないような非常識な行動を選択

したとか、そうした事でもない限り、セッションの目的自体を見失わせる事はしない

方が、プレイヤーもマスターもお互い楽しいと感じるからである。

 

 勿論、失敗する事が何のリスクにもならないのであれば、それはミッションを行う

意味がない。なので、失敗時には相応のハンデを与え、次の展開が苦しくなるように

してあるのである。

 

 閑話休題

 ミッション中に冒険者たちが取れる行動は、GM側であらかじめ指定する。

 今回は、ラウンドごとに、冒険者たちは下記の行動を行う事が出来る、とした。

  

《パルムの深き場所を探索する》:

メイン/耐久or知識9

パーティコマを1マス進める。

【備考】

【採掘師】【辺境巡視】【知識人】はこの判定に+2

 

【達成値が13】

パーティコマを2マス進めてもよい。

 

【達成値が17】

パーティコマを3マス進めてもよい。

 

《休息する》

メイン/操作or知識10

キャラクター1人から、消耗カウンターを1つ取り除く。

【備考】

【医者】【薬師】【メイド】【戦司祭】は、この判定に+2

 

【達成値が13】

消耗カウンターを2つ取り除く。

 

【達成値が17】

消耗カウンターを3つ取り除く。

 

 また、この他に、冒険者たちが思いつく限りの行動は宣言すれば行えるものとし

た。例えば、上記の行動ではなく、このラウンドではエリアの探索を行いたいと思う

冒険者がいた場合、宣言すればそれを行う事が可能とした。その場合に使用する能力

値は、GMが決定する(例えば、エリア探索であれば《解析》というように)。

 

GM「君たちの記憶では、確かプレフィックスドアイテム(いわゆるマジックアイテ

ム)の類も、ダンジョンのどこかには眠っていたはずだ。もっとも、今回はルール通

り、消耗カウンターが溜まっていくので、探すより早めにゴールを目指した方がいい

かもしれないが」

 

 というような言葉でルールの説明を締め、冒険者たちの方針を決定させるため、こ

こで5分間の休憩を取る事になった。果たして、《パルムの深き場所》で冒険者たちを

待ちうけるものとは!?

 

 というところで、次回へと続く。

エルダーテイルTRPG改めログホライズンTRPG第一話最終回『ススキノからの脱出』プレイレポ・その4

 前回のレポートはこちら。

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2014/08/25/212629

 

 

 前回、ススキノの街全体を揺るがす騒ぎを起こすことで脱出に成功した人騒がせな

冒険者たちは、たっぷり三日ほどかけて、エッゾ帝国と自由都市同盟イースタルを隔

てる第二の関門、ライポート海峡へと辿りついた。

 ちなみに、エルダーテイルは実際の地球をモデルにした世界を構築しているので、

わかり辛ければエッゾ帝国を北海道、自由都市同盟イースタルを東日本と考えればわ

かりやすいだろう。つまり、ライポート海峡は青函トンネルの辺りである。

 

森村:「海、海ー!」

 

 抑圧されたススキノを抜けて開放的な気分になったのか、海を見てはしゃぐ森村。

 しかし、ここは前述の通り青函トンネルの辺りである。

 

アルミナ:「泳いだら死ぬわよ。波が東映のオープニングみたいになってるから」

 

 事実その通りである。

 もし泳ぎなど試そうものなら、波に飲まれて海の藻屑と消えてしまうだろう。

 東北の海は冷たく厳しいのだ。

 

 閑話休題

 どうしたものか……頭を捻る一行に、深刻そうな顔をしていたポカリスが口を開い

た。

 

GM/ポカリス:「みんな、聞いてくれ! 俺、MMOは普通の派だったけど……」

GM/ポカリス:「モリソンちゃんの水着姿が見られるなら、VRMMOも捨てたもんじゃ

ないな!」(サムズアップ)

アルミナ:「無言で手が出ます

 

 ふっとぶポカリス。

 それを無視して、一行はライポート海峡を越える手段を考え始めた。

 

 ライポート海峡を越える手段は、大きく分けて三つ。

 

1.グリフォンなどで空を渡る。

2.レイドエリアである地下トンネルを通る。

3.船を使う。1人5G。

 

 である。

 

アルミナ:「1人5G……ある?」

森村:「ある!」

レヴィ:「ない」

オロナ:「マイナスです

一同「は?

 

 どうやら装備を取得する際、計算を間違えていたらしい。仕方ないので、余分な分

の装備は捨ててもらう事に。読者の方も、計算間違いには十分注意してほしい。

 

 余談だが、ワタシがGMをするとき、各人のキャラクターシートの能力や装備に関し

てはチェックを行わない。何故なら、そこが多少間違っていたところで、セッション

の本質にはなんら影響しないと考えているからである。間違っていて、それが問題に

なった場合は、その時に訂正を行わせればいいのである。

 

 勿論、全てのGMがこうした考えを持っているわけではないので、正確にシートを作

るに越した事はないのだが。

 

 ちなみに、現在の所持金はアルミナが10G、森村が5G、レヴィが0Gである。

 もし、オロナの所持金が5G未満の場合は、強制的にレイドエリアを通らざるを得な

いのだが……。

 

オロナ:「ええと……5G浮きました

一同:「セーフ!」

 

 というわけで、一行は「3.ライポート海峡を船で渡る」を選択。

 

アルミナ:「『必ず返してくださいね、レヴィさん』と固い笑顔で渡します」

森村:「あーちゃんはお金にシビアだからねー」

GM:「モリソンはだらしなさそうだな」

レヴィ「でもhimechanっぽいから貢いでもらえそう」

GM:「もりそん『わ~、この装備かわいい! ほしい~!』 次の日、トレードで高

級カードが刺さった装備が」

森村:「ちょっとーやめてよー! フリオニカードわーい!

アルミナ:「だからソロなのね。ギルド入ると貢いでもらえなくなるから……」

レヴィ:「そして送られてくる携帯電話番号

GM:「エルダーテイルの闇

森村:「リアルだからやめよう!?」

GM:「このセッションはよりMMOらしさを重視してお送りしています

 

 今問われる、MMOらしさとは。

 

レヴィ:「(公式HPのシートに)タグ追加しておこう。【見抜き】タグ

オロナ:「おっぱいむちぷりーんって感じだ」

GM:「マジで追加されてるじゃねーか! これが僕たちのRIARU――」

アルミナ:「それやめてwww」

森村:「そんな生々しさはいらない!!」

 

 妙な話題で、しばし盛り上がる一行。

 MMORPGのプレイヤーとして、himechanの話題を欠かす事は出来ないのだ。

 

 そんなところで、次回へ続く。

エルダーテイルTRPG改めログホライズンTRPG第一話最終回『ススキノからの脱出』プレイレポ・その3

前回はこちら

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2014/08/16/013217

 

 

 ススキノからの脱出のため、更なる策を練る冒険者たち。

 こうして策を多重に張り巡らそうとするのは、冒険者の常である。

 

森村「やっぱりススキノから脱出したい人を募集しようよ!

アルミナ「妥当な線ね……」

レヴィ「脱出したい人を集めて囮にするのか

 

 相変わらず黒い

 だが、現実のネトゲプレイヤーの思考などは大体こんなものかもしれない。

 妙な正義感に燃えたりする「現代人」は、ヒロイックなシステムでもなければやは

り違和感が伴う場合も多いだろう。

 

 勿論、このような提案にも「それを行った場合、どうなるか?」を返答するのがGM

の仕事である。

 

GM「まぁ、囮という面でも使えるだろうね。君たちだけが逃げたんじゃ、もしバレた

時、追っては君たちだけを追うけど、いっぱいいて散り散りに逃げるなら、追っても

分散するしね」

アルミナ「逃げられるようなら逃げてもらえばいいし」

森村「うんうん」

 

 話はまとまり、不満を持った冒険者を探す為に《解析》or《知覚》8を振る事に。

 

森村「解析はボーナスあるよ! そい!」

 

 結果は……《1・1》+1の3。

 静まり返る一同。

 

GM「では、君のアバターに釣られたブリガンティアのモヒカンが釣れたよ」

GM/モヒカン「なにぃ? おっぱい大好きな奴を探してるってぇ~~!?(難聴)」

森村「いやぁ~~~~~!!」

 

 この失敗のペナルティとして、次に行われる判定が-1されることになった。

 だが、次に振ったオロナの修正値は+2であり、-1されてもまだ+1である。

 どうなるかと心配された判定は、何のことはなく普通に成功した。

 

GM「では、オロナは不満を持っていそうな冒険者を見つけることに成功したよ。名前

は「Ezozika Leclerc」」

レヴィ「そいつ虫食うからダメだ

 

 Ezozika Leclercさんとは、FF14をやっている面子(GM、レヴィ、オロナ)のフレ

ンドである。今回はminkai接待の側面もあるので、多少身内ネタに突っ込みすぎかとは

思ったが、こうして登場してもらう事にした。

 もし、読者の皆さんが共通のネトゲをプレイしているとか、あるいはネトゲ全体の

「あるある」ネタにそこはかとなく通じているという時、それをネタにする事で盛り

上がれるだろう。ただ、あまりに少数しか理解できない身内ネタはオススメできな

 

 ともあれ、一同はさっそく交渉に入ろうとするのだが……Ezozikaさんは冒険者たち

の話に取り合おうとしない。様子を見ると、どうやら周囲を警戒しているようなのだ

が……。そこで、レヴィが提案する。

 

レヴィ「念話を使えばいいのでは?

 

 念話とは、冒険者が持つ特殊能力の一つである。

 所謂「Tell機能」というものであり、冒険者、かつフレンド登録してあるもの同士で

あれば、口に出すことなく会話が出来るという能力だ。

 相手が冒険者であり、かつフレンド登録を承認してくれるのであれば、こうした秘

密の相談も簡単に可能になるのである。

 

GM/Ezozika『しつこい奴だな。何の用なんだ?』

GM「と、Ezozikaさんが念話を送ってくるよ。事情を説明するのが手間であれば、

TRPGには「かくかくしかじか」という便利な呪文がある

オロナ「じゃあ……『悪いな、カクカクシカジカススキノから脱出したいと考えて

る』」

GM/Ezozika『そう……(無関心)

 

 説得するなら《交渉》を振ってください、という事である

 とはいえ、この判定は無事成功し、無事にEzozikaさんの説得を終えた一同。

 いよいよ、満を持してススキノからの脱出計画を実行に移す!

 

GM「では、ダイスを振ってくれ」

一同「10、13、12、14!」

 

 流石に二重に張り巡らせた策の効果(修正値+4)は大きく、無事に噂の拡散に成功

した冒険者たち。

 彼らが流した噂はデミクァスの耳にも届き、急遽、セララ捜索隊が結成され、噂が

起こった場所をしらみつぶしに捜索させる事になった。おかげで、ススキノの出入り

口の警備は手薄になり、脱出の機会が訪れた!

 

 ここで、GMは閃いた。

 以前にも触れたが、アニメではセララがブリガンティアの面々に路地裏で追い詰め

られているシーンがあった(にゃん太先輩がかっこよく悪漢をぶちのめすシーンであ

る)。今の状況は、まさにそれと瓜二つではないだろうか?

 というわけで……

 

GM/ブリガンティアの冒険者「セララを見つけたぞー! 追えー!」

GM/ブリガンティアの冒険者「な、何だお前は!? グワーッ!!

アルミナ「何したのwww」

GM「いや、つまりだな。ここでアニメの3話だか4話の終わり辺りに繋がるんだよ」

森村「ああーなるほど、こっちが噂を流しちゃったから、本当にセララが見つかっち

ゃった的な」

GM「そういうこと」

オロナ「戻る予定もないしいいか!

 

 よくはない。

 ともあれ、こうした「原作とのつながりを意識する」点は、原作物システムの醍醐

味である(と、個人的には思っている)。

 自己満足の領域であるが、読者の皆様も、TRPGをプレイするのであれば、こうした

「自分だけの密かな楽しみ」を是非見つけて欲しい。

 

 こうして、無事にススキノを脱出する事になった一同だったが……ここまで書い

て、実はまだ前半戦である。冒険者たちがホームであるアキバへと辿りつくために

は、もう一つの難所、《パルムの深き場所》を超えなければならないのだ……。

 

 という辺りで、次回へ続く。

エルダーテイルTRPG改めログホライズンTRPG第一話最終回『ススキノからの脱出』プレイレポ・その2

 MMORPG「エルダーテイル」の世界に取り込まれた冒険者たちはこちら

 http://bluevon.hatenablog.com/entry/2014/08/15/235225

 

 というわけで、ススキノの宿屋にたむろする一行、というところからセッションは

始まった。

 

GM「では、今回予告を読み上げよう……」

 

 そういって今回予告を読み上げ終わるや否や、おもむろにyoutubeのアドレスを張る

GM

 

GMhttps://www.youtube.com/watch?v=ygYrIp_bW-0

GM「デラッベッスwwwwwwwデラッベッスwwwwwwwwwウォーウォー↑↑」

アルミナ「定型文やめろww」

GM「今にゃんた先輩がOPでロリコン(デミクァス)と戦ってるから」

 

 メタネタを取り込むセッションでは、上記のような実況ネタなども(わかる人がい

るなら)、それなりに盛り上がる要素である。だが、やりすぎは置いてけぼりの人が

出るので注意しよう!

 

GM「さて……仕切りなおして。今回の冒険の時間軸的には、君たちがエルダーテイル

に捕らわれた《大災害》から間もなく……という頃になる」

一行「ふむふむ」

 

 OPも終わり、PCたちが置かれた状況を説明するGM

 これは、今回予告で事前に通知していた事の再確認である。

 

GM「ところで、モリソンはソロプレイヤーらしいんだが……」

オロナ「PT募集とかで一緒になったんでは?(適当」

モリソン「寂しいので、PTを組める相手を探してたってことでw」

GM「OK、まぁソロもそろそろ寂しいなーと思ってたところに、ちょうどよくうまが

合いそうな面子を見つけたって感じかな」

レヴィ「ソロも……そろそろ……?

オロナ「【なるほど】」

アルミナ「審議却下」

 

 軽いジャブである。

 事前に提出した設定に沿うようにPCがキャラクターを作ってくるとは限らない。

 そこで、「設定に合わない部分」を「何故、そういうキャラクターが今回の冒険に

加わる事になったのか?」を話題にすることで、「すり合わせ」というTRPGにとって

大事な事に慣れてもらったわけである。

 ソロがそろそろなどというクソ寒ギャグも、GMの深い思慮に基づく発言である事は

言うまでもない。

 

GM「さて、君たちがそうしていると、外の様子を見に行ったポカリスが戻ってくる」

GM/ポカリス「いやぁ、日増しに空気が悪くなっていくよ。こりゃあダメかもわからん

ね」

GM「ポカリスは掲示板戦士でもあったので、いまだにその癖が抜けないようだ」

森村「ポカリスさんww」

レヴィ「この人よくない人だw」

 

 そんな某掲示板の癖が抜けないポカリスが言うには、ブリガンティアの横暴は日に

日に増していき、まともな冒険者はすっかり身を潜め、ススキノはブリガンティアの

支配下に置かれつつあるらしい。

 

アルミナ「やっぱり、ススキノから脱出を考えた方がいいみたいね……」

森村「でもでも、出られるの? 出て行こうとした人みんな大聖堂から戻ってくる

よ……?」

 

 考え込む一行。

 ポカリスからもたらされた情報は、

 

・ススキノには《ブリガンティア》の配下である冒険者が山ほどいる。

・《ブリガンティア》は出入り口に見張りを立て、街の出入りを制限している。

 

 以上の2点である。

 これらを総合すると、確かにススキノからの脱出は一筋縄ではいかないだろう。

 とはいえ、行動しなければ先へは進めない。

 

GM「別にデミクァスを倒す! とか言い出しても構わんよ」

レヴィ「GMは無茶を仰る」

森村「見つからないで出る方法ないのかな?」

アルミナ「抜け道みたいなものか、見張りをどかす方法があればいいのだけれど」

 

 あれやこれやと意見を出し始めるPCたち。

 そうした中で得られた情報は、このようなものであった。

 

・《ブリガンティア》は、まだ街の全ての出入り口を見張れているわけではない。

・《ブリガンティア》の方針に、内心では反対している冒険者もいる。

・《ブリガンティア》のギルドマスター、デミクァスは、「セララ」という女の子に

ご執心である。

 

森村「ばいしゅうしよう! ばいしゅう!」

レヴィ「自慢じゃないがゴールドは持ってない

森村「あれ!? 5Gしかない!

 

 どうやらこのゲームは、装備を買うと手持ちがなくなるらしい。

 ちなみにオロナはこのあと、何か計算をミスしていたらしく、所持金が-100を突破

していることが判明し、セッション中に装備を捨てる事になった。

 読者の皆様方は、そういった事がないように気をつけよう!

 

 金がなくては買収など出来るはずもない……そう悩むPCたち。

 だがここで、アルミナが陰険な策を思いつく!

 

アルミナ「セララを囮にしましょう

 

 そのアルミナの発案に対し、PCたちが出した答えは!

 

オロナ「少女の大地人を助けて、セララに仮装させて騒ぎにするとか?

 

 このパーティは駄目かもわからんね。

 

森村「ダメだよ!」

レヴィ「うん、大地人は(ブリガンティアに)襲われてるからススキノでは使えない

かなw」

 

 そういう事じゃなくない?

 とはいえ、アルミナのいう事にも一理はある。

 アニメでは、ブリガンティアはそこそこの人数をセララ探索に充てている描写があ

った。つまり、「どこそこにセララが居る」という情報を流せば、街の警備も手薄に

なるだろう、というのである。

 

 基本方針を固めたPCたちは、さっそく行動に移す事にした。

 

GM「では、噂を拡散するなら、『交渉』で判定してもらおうか。目標値は10」

アルミナ「10かぁ」

GM「4回中3回成功すれば、上手く混乱が起こって街を抜けられるよ」

レヴィ「それだと、もう一押し何か欲しいね」

 

 このゲームでは、能力値ボーナスが異常に低いため(初期キャラでは+1、よくて+2

がせいぜいで、低ければ+0もありえる)、目標値10というのはそれなりに高めの数字

である。更に、4回中3回の成功を要求されるのでは、成功の確率はかなり低いと言わ

ざるを得ない。

 

 何かないかと頭をひねる一行。

 そこで、意外な人物からの提案が!

 

オロナ「召喚の特技にソードプリンセスってあるんですけど、囮になりませんかね」

 

 TRPG初プレイとは思えない、いや、初プレイだからこその柔軟な発想と言うべき

か。勿論、本来は攻撃用スキルであるソードプリンセスをこのように使う事を良しと

しないGMもいるだろう。だが、手持ちのリソースを柔軟に運用する姿勢は、TRPG

とってはプラスに働くものである、と、私は考える。

 

 ただ、本来は攻撃スキルであるものを別の用途で運用するのに、まったくリスクが

ない、というのもよくないだろう。そこでGMは、リスクとリターンを提示する事にし

た。

 

GMロリ剣姫を召喚するロリコンの汚名を被る事になるけど、それでいいなら、スス

キノの各所でソードプリンセスを召喚してそれっぽく見せるのと同時に噂を流すこと

によって、噂に真実味が出るようにすることは出来るかもしれない」

 オロナ「OK、それでいきましょう」

 

 こうして、一つ目の方針が固まった。

 だが、まだ心もとないと感じる冒険者たちは、次の策を講じ始める。

 

 

 以下、次回。

 

エルダーテイルTRPG改めログホライズンTRPG第一話最終回『ススキノからの脱出』プレイレポ・その1

アリアンロッド東方編のオンセキャンペーン(足掛け3年)も終わったし、次は何を

やろうかな」

「ログホラTRPGをやろう」

「それがいい」

「それがいい」

 

 そういう事になった。

 

 

 というわけで、最近出たばかりの、今をときめくログホライズンTRPGをプレイする

事になった。GMはもちろん、私ことmikageである。

 

 一応、ログホライズンTRPGというものについて解説しておくが、これは「ログホラ

イズン」という小説の舞台、「エルダーテイル」で「冒険者」となって遊ぼうという

派生作品である。系統としてはファンタジーものとなる。

 

 ログホラ自体は、NHKでアニメ化された国民的作品であるし、知らないものはいな

いだろう。二期も決定しており、今から楽しみにしているアニヲタの諸君も多いはず

である。ちなみに私はろくに見ていないし、原作も一巻の序盤しか読んだ事がない。

一応、事前にそれは断っておく。

 

 このゲームが普通のファンタジー系TRPGと一線を画しているのは、「エルダーテイ

ルは元々はMMO、ネットゲームの舞台であり、PL(プレイヤー)の分身である

PC(プレイヤーキャラクター)も含む「冒険者」たちは、元はネットゲーマーであ

る」という部分である。

 

 つまり、ファンタジーの世界に生きながらも、キャラクターは「ファンタジー世界

に紛れ込んだ現代人」なわけであり、「ファンタジーに紛れ込んだ現代人をロールす

る現代人(我々)」という、なんとも複雑な構造になっているゲームなのである。

 

 とはいえ、特別にそれを意識して遊ぶ必要はないようにも思う。

 何故なら、原作の登場人物はすべからく「こいつら本当にネットゲーマーだったの

か?」というファンタジー脳の持ち主だからである。もし、プレイヤーがネットゲー

マーであるならメタネタ等を多く盛り込めば良いし、そうでないなら普通のファンタ

ジー系のシナリオで遊べばいいだろう。

 

 今回の面子は、MMORPGのプレイヤーが多かった事もあり、メタネタを多く含ませ

る事にした。というか、本当はサンプルシナリオで楽をするつもりだったのだが、

った以上にサンプルシナリオが「ただのファンタジーRPG」だったので、これはイカ

ンと急遽用意したのである。

 

 さて、エルダーテイルの世界に取り込まれた冒険者たちは以下の通り。

 

□アルミナ(プレイヤー:PE)

 メイン盾。隠れヲタのJK。

 詳しい説明はこちら(http://lhrpg.com/lhz/pc?id=19905

 

□オロナ・ミン(プレイヤー:minkai)

 今回がTRPG初プレイとなるネットゲーマー。

「名前は適当に考えろ」という教えを忠実に守り、適当につけられた。

 詳しい説明はこちら(http://lhrpg.com/lhz/pc?id=19903

 

レヴィ・ストロース(プレイヤー:ひくら)

 とある蛮族を監視する仕事をしている。

 蛮族はカタコトで喋るらしい。

 詳しい説明はこちら(http://lhrpg.com/lhz/pc?id=20218

 

□森村(モリソン)(プレイヤー:ハンス)

 himechan。

 エルダーテイルの闇を体現する女。

 公式にある「冒険者窓口」(作成したPCを登録するところ)で唯一、「見抜き」の

タグを持つ。

 詳しい説明はこちら(http://lhrpg.com/lhz/pc?id=20164

  

 この冒険者たちが挑む冒険は、このような冒険である。

 これは、「今回予告」として、事前に冒険者たちに提示している内容である。

 予告だけでなく、状況やNPCについて説明しておく事で、ある程度の共通認識を構

築してもらう事を狙っている。今回は原作の登場人物や団体を登場させているが、前

述の通り、「もし、エルダーテイルが現実のMMOだったら?」という想定の元、設定

などは手を加えている。

 

今回予告:

 
 《大災害》前夜。

 クエストでススキノを訪れていた君たちは、その攻略に成功した直後に《大災害》

に巻き込まれ、ホームに帰還できない日々が続いていた。

 
 しかし、《大災害》から数日経った今、ススキノの情勢は徐々に不穏さを

増し始めている。

 そこで君たちは、陸路によるホームへの帰還を決断する。

 
 だがその為には、二つの大きな障害があった。

 一つは、ススキノからの脱出。

 そしてもう一つは、ライポート海峡を越えた先に存在するダンジョン、

《パルムの深き場所》の踏破である――。

 

ログホラTRPG第一話最終回

『ススキノからの脱出』

 

 これが、僕たちのRIARU――。

 

状況:

 予告の通り、PCたちは《大災害》以前からエルダーテイル内でギルドとして活動し

ていました(何かしらやりたい事があれば、GMに相談の上、この設定を破棄してもら

っても構いません)。

 

 大災害直前に受注したクエストにより、PCたちはエッゾ帝国領ススキノを訪れてい

ましたが、事件に巻き込まれた結果、この街で足止めを食らっています。

 しかし、《ブリガンティア》と言う晒しスレ常連ギルドによって、ススキノの情勢

は日増しに悪化の一方を辿っています。

 

《ブリガンティア》:

 元々、狩場の独占やマスターであるデミクァスの横暴な振る舞いで、晒しスレ(ネ

トゲには付き物の奴)に度々名前の出ている悪名高いギルド。

 最近は腕力に物を言わせ、ススキノを支配しつつある。

 

デミクァス:

 重度のロリコンで有名なブリガンティアのメイン盾。

 北斗の拳を読み過ぎた結果、《大災害》後の世界を世紀末か何かと勘違いしてい

る。クラスは勿論モンク。

 だが、その実力はそこらの凡百プレイヤーでは手も足も出ないほど。

 

 だが、今回は別にこいつと戦ったりするシナリオではない。

 

NPC

ポカリス・ウェット:

 PCたちのギルドに所属するスワッシュバックラー。

 大災害前のクエストで一緒にススキノを訪れていた。

 お調子者で、大雑把かついい加減な性格。

 名前は、エルダーテイルを始める時に飲んでいた飲み物がポカリだった事による。

 

 だいたい役に立たない。

 

 以下、次回へ続く。

ダンジョン&ドラゴンズ スカイプオンラインセッション「国境の城塞」 第三幕

 栄光を求め呪われた地で活躍する冒険者たちはこちら
http://bluevon.hatenablog.com/entry/2012/03/23/103630

 第一回はこちら
 
 第二回はこちら
 
 
 燃え盛る銀行で跳梁跋扈するエレメンタル達をなんとか倒した一行。
 疲弊する一行に、(冒険者たちが戦っていた時は外で見ていただけの)金髪のサールが、元気ハツラツに声をかける。

DM/サール「おつかれさま。早速、奴が何か残していないか探りましょう!」
ワシュキツ「コイツ……」
DM/サール「さあ、早く早く!」
クリス「はあ」
 
 強引なサールに促され、不承不承と言った様子で銀行を漁り始める冒険者たち。
 
DM「じゃあ、《知覚》か《盗賊》で判定で」
ワシュキツ「《盗賊》はお任せください!」
マードゥッカ「じゃあわしらは《知覚》で」
 
 ダイスの結果、知覚で一番高い目を出したのはマードゥッカだった。
 
ワシュキツ「流石はマードゥッカ様!」
ルトラ「すごーい」
DM/サール「爺さん、やるわね」(サムズアップ)
マードゥッカ「じ、爺さん!?
 
 ショックを受けるマードゥッカだが、彼のアイコンはどう見ても爺である。
 まぁ、ドワーフだし。
 
 マードゥッカが焼け残った書斎の机から見つけ出したのは、一枚の地図だった。
 地図には印が付けられており、"炎と毒蛇の部族""合流"などと走り書きがしてある。
 冒険者たちが調査したところ、炎と毒蛇の部族は最近この地にやってきた新興のリザードフォークの部族であり、最近ティアマトを信仰し始めたらしい。
 
 恐らくロンニックは彼らの後ろ盾となり、その見返りとしてティアマトへの信仰と自分の野望への協力を取りつけたのだろう。冒険者達はそう結論付ける。
 
DM/サール「さあ、早くロンニックを追うのよ!」
 
 と、急かすサールを無視し、冒険者たちは用心深く準備をする事に。
 ワシュキツの《盗賊》判定によってロンニックの隠し財産を手に入れたりしていた冒険者たちは、今まで手にいれた報酬で、来るべき戦いに備えるため、マジックアイテムを買う事にしたようだ。
 
 プレイヤーハンドブックを片手にあれこれと悩む冒険者たち。
 得た報酬で何を買うか? それもTRPGの醍醐味である。
 
クリス「私はアダマングレートソードにするよ。DR(ダメージリダクション・ダメージ軽減)も抜ける優れものさ!」
ワシュキツ「私は悩みましたがアミュレット・オブ・ヘルスにしようかと」
マードゥッカ「わしは何にしようかのう……」
コトラ「スタッフは? これとか……」
 
 何を買うかで小一時間ほど悩む冒険者たち。
 しばらく後、冒険者たちはそれぞれ選んだ魔法の武具を手に意気揚々とロンニックの逃亡先へと出発した!
 
 "炎と毒蛇の部族"の根城は、混沌の傷跡を突っ切った先にある洞窟である。
 冒険者たちは道中でエンカウントの判定などをしつつ、無事に洞窟へとやってきたのだが……。
 
DM「君たちの目のまえには切り立った崖がそびえており、見上げるとそこに洞窟がぽっかりと口をあけているのが見えるね。洞窟の入り口からは滝が流れ落ちており、どうやら洞窟内には河が流れているようだ」
コトラ「のぼっていけますか?」
DM「《軽業》で判定かな」
ワシュキツ「《軽業》なら私が!」
DM「じゃあ、振ってみて」
ワシュキツ「(ころころ)……うわぁー!
 
 案の定落ちてダメージを食らうワシュキツ。
 しかし、その後のチャレンジでは無事判定に成功し、一同は洞窟の入り口へと辿り付く。
 
クリス「中は見えるかい?」
DM「君達が明かりを照らすと、中はこうなっているようだ」(と言いつつマップを見せる)
 
 中は中央を太い河が流れており、その周辺にところどころ陸地がある様子。
 道は途中で途切れたりしていて、なにやら仕掛けがあるようだ。
 
DM「さらに、入り口から入って行ける場所は洞窟の奥に進む道の他に、左に細い道が枝分かれしているよ」
クリス「じゃあ、とりあえず左からいっとく?」
全員「そうしようそうしよう」
 
 そういうことになった。
 
DM「君達が細い道を進んでいくと、やがて若干開けた空間に出るね」(と言いつつマップを見せる)
マードゥッカ「この緑色のは?」
DM「ここには巨大なきのこが群生しているね。きのこは障害物扱いだ。その先を見通す事は出来ない」
クリス「怪しいな」
コトラ「あやしい」
ワシュキツ「私が偵察してきましょう」
DM「では、ここまで進んだところで《知覚》で判定してくれ」
一同「なにぃー!?
 
 当然の如く失敗するワシュキツ。
 いいところなしである。
 
DM「では、ワシュキツの頭上から透明なゼラチン質の生き物が降ってくるよ。君は不意打ちされるね」
ワシュキツ「アカン」
DM「さらに、それと同時に群生するきのこの間からトカゲ人間が飛び出してくる!」
一同「ぎゃー!
 
 というわけで、戦闘である。
 不意を打たれたワシュキツはゼラチン的な何かに足止めを喰らうものの、マジックアイテムなどでパワーアップしたワシュキツに対してゼラチン的な存在も致命傷は与えられない。
 だが、DMには奥の手があった。
 
DM「じゃあ、奥から飛び出してきた中の一人が君たちに向けて魔法を唱えるぞ! 命中すると毒ダメージだ」
ワシュキツ「ぐっ、当たりました。ダメージください」
DM「(ころころ)5点」
ワシュキツ「弾きました
DM「なにぃ!?
 
 まさかのアミュレットオブヘルスがここで大活躍。
 ワシュキツの冴えた読みが光った瞬間であった。
 
 そうこうしているうちに、他の面子が前線に合流。
 こうなってしまっては、所詮は雑魚である。あっという間に片付けられ、戦闘は終了してしまった。
 
 
 というところで、今回の冒険は中断。

 また次回。

ダンジョン&ドラゴンズ スカイプオンラインセッション「国境の城塞」 第二幕

 第一回はこちら

http://bluevon.hatenablog.com/entry/2012/06/12/144643


 前回、見事ドラゴンボーン率いる誘拐団を倒した一行は、さっそく穴倉に捨て置か

れたぼろ雑巾のようなヒューマン――ゴルディの様子を確認する。


DM「ゴルディの顔は青褪めていて、何やらよくわからないうわ言を繰り返している

ね。どうやら毒を使われているようだ。かなり衰弱しているよ」

ルトラ「介抱できますか?」

DM「《治療》で振ってみてくれ」

一同「《治療》……?」

 

 顔を見合わせる一同。

 

クリス「私は治療はry」

ワシュキツ「モルグランは持ってないか?」

モルグラン「無いな」

マードゥッカ「わしも持っとらんぞ」

ルトラ「一応ある。低いけど……」

 

 不安を感じる一同であったが、技能なしよりはあった方がマシだろうという判断に

よって、ルトラに治療を任せる事に。その判断は結果的に正しく、ゴルディの容態を

多少は安定させる事に成功する。

 

 しかし、いつまでもこんな場所にいては、またいつ容態が悪化するかはわからな

い。一同の意見は、大休憩を取りつつ、早めに安息砦へ引き返そうということで一致

した。

 

 しかし、ゴルディを連れて安息砦の出入り口に戻れば、鷹のように目を光らせてい

るフェルディナンド・ロンニックに見つかってしまうだろう。頭を悩ませるパーティ

であったが、そこでクリスが声をあげる。

 

クリス「私にいい考えがあるよ」

 

 クリスは気絶していたドラゴンボーンの傭兵を起こし、まずは情報を得ようとする

が、出てくる情報は既に知られている事ばかりであった。

 即ち、傭兵たちはロンニックに雇われゴルディを誘拐した事、ゴルディの協力者を

いぶりだす為にこの場所に陣取っていた事などである。

 

DM/傭兵「……ってわけさ。へへへ、知ってる事は話したぜ、命は助けてくれよ」

クリス「なるほどね。私の言うとおりにしたら、命は助けてやるよ。まずはロンニッ

クのところにいってこう言うんだよ。『冒険者達がゴルディを助けに来たが、そいつ

らは返り討ちにしてやった』ってね」

 

 クリスは傭兵を使ってロンニックに偽の情報を掴ませ、安息砦の警戒を緩めようと

考えているらしい。

 

 運動も治療も不得意なクリスであったが、どうやら悪知恵は働くようである。

 

 多少の金も握らされては、志の低い傭兵などは《交渉》での対決に勝てようはずも

ない。

DM/傭兵「わかった、約束するよ。へへへ」


 クリスに言いくるめられた傭兵は、ロンニックの元に偽の報告をする為にその場か

ら去っていった。

 

 かくして大休憩のあと、一同は即座に行動を開始した。

 途中、ゴルディの体調が悪化する場面があったものの、再び《治療》ロールに成功

して事なきを得た一同は、雨の降る夜更けに安息砦へと帰還する。

 

 いくらなんでもゴルディを連れて出入り口から入っては見つかるだろうと考えた一

同は、あまり使われていない通路からこっそりと砦の内部へと侵入する事に。

 

 この際、《隠密》ロールを振る一同だったが、クリスの事前の機転により大幅な難

易度の軽減を受けており、無事に砦への帰還を果たす事に成功した。

 砦への帰還を果たした一同は、意外な人物に迎えられる。

 

DM/ベンウィック「おお、お前さんがた、戻ってきたんだな!」

マードゥッカ「なんでこっそり戻ってきたのに見つかるんじゃ?」

DM「えー……徘徊してたんじゃないかな(?)


 文句はシナリオに言ってください。


 ベンウィックはゴルディの容態を見ると、すぐにゴルディの家へと運ぼうと提案す

る。彼は熟練の薬剤師であり、解毒剤の調合などはお手のものであるらしい。

 

 ロンニックに偽の情報を掴ませたとはいえ、洞窟にいって確かめられればすぐに見

破られてしまう事である。そうなれば、安息砦のどこも安全な場所ではなくなってし

まうだろう。今のところは、ゴルディの家がもっとも安全な場所であるはずだ。

 

 家へと運ばれたゴルディは、さっそくベンウィックの治療を受ける事になった。

 彼は冒険者たちにも治療の手伝いを頼み、何人かがこれに応じて彼を手伝う事に

なった。

 しばらくして、ゴルディの容態は無事安定し、冒険者たちはようやく一息つく事が

出来たのである。

 

 ベンウィックはゴルディを助けたお礼として、冒険者達を酒場に誘う。

 ゴルディは明日の朝には意識を取り戻すだろう。そうなれば、ロンニックの悪事の

証拠を掴む事が出来る。彼にはもうひとり、金髪のサールという協力者がおり、彼女

とゴルディの証言があれば、あの悪党は破滅するだろう……ベンウィックは冒険者た

ちに酒を振舞いながら、そう語る。

 

 程なくしてベンウィックは席を立ち、ささやかな酒宴も終わろうとする頃……

 

DM「じゃあ、《知覚》で振ってみて」

一同「えっ」

 

 ベンウィックが酒場から出ていくのと同時に、酒場にいたごろつきの一人が出て

行った事に気付いた冒険者たちは、嘘の情報を見破ったロンニックによる襲撃がある

と判断、酒場の裏手から出て襲撃者たちの裏をかこうという意見で一致する。

 

 しかし、酒場の裏手から出ようとする一行の前に、思わぬ敵が立ちはだかった!

DM/マスター「お客さん、そっちは勝手口だよ」

 

 酒場のマスターの常識的対応に思わず固まる冒険者たち。

 なんとかマスターを誤魔化そうと頭を悩ませる一行。

 そして出てきた言い訳とは!

 

マードゥッカ「ちょ、ちょっともよおしてのう」

DM/マスター「便所はあっちだよ」

 

 マードゥッカ必殺のジジイなのでトイレが近いんだよロールも、すげない対応でや

り過ごすマスター(交渉ロールは振ったものの、ちょっと催したからといって店の裏

口から集団で出ようとする一団が怪しすぎるという理由からペナルティを食らった上

に出目も低かった)。

 

 思わぬ強敵の出現に頭を悩ませる一行だったが、

 

クリス「ていうか、別に誤魔化す必要なくない?」

 

 というクリスの一言により、事情を話して裏手から出る事に。

 そうだね、別に誤魔化すところではないね。冒険者の悪い癖である。

 

 酒場の入り口をぐるりと取り囲むごろつきたちであったが、元々石がかすっただけ

で死ぬ程度の虚弱体質な上に、背後から冒険者たちの不意打ちを受けたのではひとた

まりも無い。

 ひとり、またひとりとごろつきが倒れ、いよいよ最後の一人となった時、不意に警

鐘が薄暗い空に鳴り響く!

 

DM「君達があっけに取られている隙をついて、ごろつきは逃げ出したよ。入れ替わり

に、金髪の女性が慌てた様子で君たちの元にやってきて言う。『ロンニックの銀行が

燃えているわ!』」

一同「……誰?」

DM「サールだよ」

一同「誰?」

 

 まぁ、ベンウィックの話にちょっと出てきただけな上に、直後に戦闘だったから

ね……。

 

 サールはPC達にロンニックの銀行が燃えている事を告げる。

 彼女が言うには、ロンニックは雇ったごろつきが不利だと見るや、自らの悪事の証

拠隠滅の為に、銀行に火を放ったらしい。

 とっとと証拠が燃える前に回収してこいや! というサールの勢いに気圧されつつ

銀行の内部へと潜入した冒険者たちが見たものは、所狭しと暴れ回るエレメンタルパ

レード(?)だった!

 

 かくして、再び戦端は開かれた。

 

DM「この戦場では、このファイア・トークンが毎ラウンド燃え移っていくよ。ここに

突っ込んだり隣接したりするとダメージね」

 

 このギミックにより、ラウンドを重ねるごとにマップが火に覆われ、攻撃が命中し

なくても冒険者たちにダメージを与える事が出来る!

 しめしめ……と、DMは思っていたのだが……。

 

ルトラ「DM、一日毎パワーのヘラルドで火を消火できません?」

DM「ん、んん~? まぁ、出来るんじゃないかな?」(適当)

 

 ルトラのクラス、ウォーデンの一日毎パワーであるフォーム・オブ・ザ・ウィン

ターズ・ヘラルドは、冷気を発して辺りを霜で多い、移動困難にさせたり冷気ダメー

ジを与えたりするパワーである。

 

 まぁ、冷気ダメージだし火も消えるんじゃん?

 ……などと、適当に考えたのがDMの過ちであった。

 

 ヘラルドの範囲は2*2、これが相当広い範囲に及んでおり、しかも持続が戦闘が終了

するまでときたものである。

 ルトラが移動するたびに火が消えていき、もはやルトラは移動するドワーフスプリ

ンクラー状態

 

 ゲゲェーッ! 失敗した!

 しかし、DMにはまだエレメンタルちゃんたちがいる!

 

 だがしかし、可愛いエレメンタルちゃんたちも、モルグランやワシュキツの無慈悲

な一撃に、奮戦虚しく一匹、また一匹と精霊界へと戻っていく。

 

 やがて最後の岩と炎の精霊がモルグランの槍に串刺しにされた頃、銀行を覆ってい

た炎もすっかり弱まり、冒険者たちは無事、ロンニックの悪事の証拠を手に入れる事

に成功したのだった……

 

 

 という辺りで、今回のセッションは終了。